これからの時代に「勉強ができる」だけでは足りない理由|非認知能力が注目される背景

テストで高い点を取ること。
難しい問題を解けること。
学校で学ぶ知識をしっかり身につけること。
こうした「学力」は、これからも子どもたちの学びに欠かせないものです。
一方で、これから先の社会を考えたとき、「学力が高ければ、それだけで十分なのだろうか」という疑問も生まれます。

自分から「やってみたい」と思い、学びに向かうこと。
うまくいかないときに、あきらめずに試してみること。
人と意見を交わしながら、自分の考えを深めること。
自分の経験を振り返り、次の行動につなげること。

こうした力は、テストの点数だけでは捉えにくいものです。

近年、こうした力を含む「非認知能力」が、教育の分野で注目されています。
非認知能力とは、テストの点数のように直接測ることが難しい、さまざまな力を指す言葉です。
例えば、目標に向かって取り組む力、粘り強く続ける力、人と協力する力、自分の気持ちを調整する力、好奇心を持って新しいことに向き合う力などが挙げられます。

この記事では、学力と非認知能力はどのような関係にあるのか、なぜ今こうした力が注目されているのか、そして小学生のうちにどのような経験を重ねていくことが大切なのかを考えていきます。


「学力だけでは足りない」と言われるのはなぜ?

まず大切なのは、「学力はもう必要ない」という話ではないことです。

むしろ、これからの学びでは、知識や技能を身につけることと、その知識や技能を使って考えることの両方が重要になっています。
例えば、環境問題について考えるとき、環境についての知識がなければ、問題について考えることはできません。
文章を読み比べるには、文章を読み取る力が必要です。
自分の考えを相手に伝えるには、言葉を使う力が必要です。
つまり、考えるためにも、まず「知っていること」が必要です。

そのうえで、
「なぜこうなっているのだろう?」
「ほかの方法はないだろうか?」
「自分はどう考える?」
「実際にやってみたらどうなるだろう?」
と、知識を使って考えたり、行動したりすることが求められます。

文部科学省が現在進めている次期学習指導要領の検討でも、「主体的・対話的で深い学び」の実装が大きな方向性の一つとして示されています。そこでは、知識を概念として理解し、他の学習や生活の場面でも活用できる「生きて働く『確かな知識』」とともに、思考力・判断力・表現力や「学びに向かう力、人間性等」を育てることの重要性が示されています。なお、2026年9月時点では、これは次期学習指導要領そのものではなく、中央教育審議会で示されている「審議まとめ(素案)」の段階です。

知識を身につけることと、自分で考え、学び続けること。
これらは別々ではなく、どちらも学びの土台になるものです。


非認知能力とは?

「非認知能力」という言葉は広く使われていますが、実は一つの決まった能力を指しているわけではありません。

さまざまな研究や教育の場では、社会性や感情のコントロール、粘り強さ、協働する力など、テストの点数だけでは捉えにくい力をまとめて表す言葉として使われています。

OECDでは、「非認知能力」という言葉よりも「社会情動的スキル(Social and Emotional Skills)」という表現が用いられています。

OECDは、社会情動的スキルとして、例えば「責任感」「粘り強さ」「自制心」「好奇心」「創造性」「協働」「共感」「ストレスへの抵抗力」などを整理しています。また、これらは認知的な処理や教科の学力とは区別される一方で、学習や生活のさまざまな場面と関わる力として位置づけられています。さらに、発達の中で変化しうること、学びを通じて育てられる可能性があることも示されています。

つまり、非認知能力とは、「頭のよさとは別の、なんとなく大切な力」という曖昧なものではありません。

自分で学びに向かうことや、人と関わること、気持ちを整えること、うまくいかないときにもう一度取り組むことなど、日々の学びや生活の中で表れるさまざまな力として考えることができます。


非認知能力には、どんな力がある?

では、具体的にはどのような力があるのでしょうか。

1.興味を持って「知りたい」と思う力

例えば、授業で「虫について調べましょう」と言われたとき、与えられた課題をこなすだけでなく、
「どうしてこの虫はこの場所にいるんだろう?」
「ほかの虫と何が違うんだろう?」と、自分から疑問を持つ。
こうした好奇心は、学びを始めるきっかけになります。

OECDの調査でも、好奇心は学業成績と関連する社会情動的スキルの一つとして示されています。

2.うまくいかなくても、もう一度取り組む力

問題が一度で解けなかったとき。
つくったものが思ったように動かなかったとき。
自分の考えをうまく伝えられなかったとき。
そんな場面で、「もういいや」とやめるのか、
「どこがうまくいかなかったんだろう」
「次はどうしてみよう」と考えてもう一度取り組むのか。
この違いを生むのが、粘り強さや自己調整に関わる力です。

OECDの調査では、「達成動機」「粘り強さ」「責任感」「自制心」といった、課題に取り組む際の力と学業成績との間に、比較的強い関連が見られています。

3.人と一緒に考える力

学びは、一人で完結するものばかりではありません。
友達と意見が違うこともあります。
自分とは違う考え方を聞くこともあります。
そのときに、
「自分の考えが正しい」と押し通すだけではなく、
「どうしてそう考えたの?」
「その考えにはどんな理由があるんだろう?」と相手の考えを聞く。
そして、自分の考えも言葉にする。
こうした経験は、協働する力や相手を理解する力につながっていきます。

4.自分の気持ちや行動を振り返る力

「できた」「できなかった」で終わらず、
「なぜできたんだろう?」
「どこで困ったんだろう?」
「次はどうしたらいいだろう?」と、自分の学びを振り返る。
こうした振り返りも大切です。

学びを続けるうえでは、ただ努力するだけでなく、自分の状態や行動を振り返りながら、次の行動を考えることが必要になるからです。


非認知能力と学力は、別々のものではない

「学力か、非認知能力か」
という二択で考えてしまうと、少し違うものが見えてきます。

実際には、両者は互いに関わっています。
OECDの「社会・情動的スキルに関する調査(SSES)」では、社会情動的スキルの多くが、数学・読解・芸術の成績と関連していました。特に、達成動機、粘り強さ、責任感、自制心といった課題遂行に関わる力や、好奇心との関連が比較的強く示されています。

これは、「非認知能力を伸ばせば必ず成績が上がる」という単純な話ではありません。
さまざまな力の間には関係があり、学習に向かう姿勢や粘り強さ、好奇心などが、実際の学びと結びついていることが分かってきている、ということです。

世界銀行も、基礎的な学びを「読み書き・計算」だけでなく社会情動的なスキルも含めて捉え、それらが生涯にわたる学びの土台になるとしています。

だからこそ、
「勉強ができる子」と
「人として成長する子」
を別々に考える必要はありません。

知識を学び、考え、試し、振り返る。
その過程の中で、さまざまな力が同時に育っていくのです。


これからの時代に大切なのは「答えを出す力」だけではない

これから先、社会がどう変わっていくのかを正確に予測することはできません。
新しい技術が生まれれば、今まで当たり前だった仕事や仕組みが変わることもあります。
AIによって、情報を集めたり、文章を整理したりすることも、これまでより簡単になっていくでしょう。

だからこそ、これからの学びでは、「すでにある答えを知っているか」だけではなく、
「何を知る必要があるのか」
「どの情報を使えばいいのか」
「この方法でよいのか」
「ほかの考え方はないか」
と、自分で考える場面がより重要になります。

そして、考えたことを実際に試し、うまくいかなければ修正する。
人と意見を交わしながら、自分の考えを深める。
こうした学びの積み重ねが、変化する状況に対応していく土台になります。


非認知能力は、特別なトレーニングだけで育てるものではない

ここで、もう一つ大切なことがあります。
非認知能力という言葉を聞くと、
「非認知能力を育てるための特別なトレーニングが必要なのでは?」
と思うかもしれません。

しかし、必ずしもそうではありません。

例えば、
「どうしてそう思ったの?」
「ほかの方法はないかな?」
「うまくいかなかったのはなぜだろう?」
「次はどうしてみたい?」と問いかけること。

自分で選んだことをやってみること。
誰かと意見を交わすこと。
思い通りにならなかった経験を振り返ること。
こうした日常の経験そのものが、さまざまな力を使う機会になります。

OECDも、社会情動的スキルは状況や環境との関わりの中で発揮され、発達によって変化し、教育によって育てられる可能性のあるものとして整理しています。

「非認知能力を育てる時間」を特別につくるというより、普段の学び方や関わり方の中に、その機会をつくっていくことが大切なのです。


小学生のうちから「自分で考える経験」を

では、こうした力を小学生のうちから育てていくには、どのような学びがあるのでしょうか。

一つの方法が、「すぐに答えを教えてもらうのではなく、自分で考えてみる」経験を増やすことです。
例えば、「なぜだろう?」という疑問を持つ。
「どうしたら確かめられるだろう?」と考える。
必要なことを調べる。
実際にやってみる。
うまくいかなかったら、理由を考える。
もう一度試してみる。
分かったことを誰かに伝える。
このような経験の中には、好奇心、粘り強さ、自己調整、協働、表現する力など、さまざまな力を使う場面があります。

大切なのは、最初から上手にできることではありません。
「考えてみた」
「やってみた」
「うまくいかなかった」
「もう一度やってみた」
という経験を積み重ねることです。


「学力」と「これからの力」を一緒に育てる

子どもの教育を考えるとき、「学力を伸ばすこと」と「非認知能力を育てること」を別々のものとして考える必要はありません。

読む。知る。考える。人と話す。試す。失敗する。振り返る。また考える。

こうした学びの中には、知識や技能だけでなく、さまざまな力が含まれています。
文部科学省が現在進めている次期学習指導要領の議論でも、「主体的・対話的で深い学び」を通して、確かな知識を身につけながら、思考・判断・表現や、学びに向かう力、人間性等を育てていく方向が示されています。
これからの時代に必要なのは、単純に「勉強ができる子」を増やすことでも、「勉強以外の力」を優先することでもありません。

知識を学び、それを使って自分で考え、周りの人と関わりながら、試行錯誤していく。
そのような学びの経験を、小学生のうちから少しずつ積み重ねていくことが大切なのではないでしょうか。


みらいミッテが大切にしている学び

みらいミッテでは、知識を覚えることだけを目的にするのではなく、子ども自身が「なぜだろう?」と問いを持ち、自分で考え、調べ、つくり、伝える経験を大切にしています。

学びの中では、「どうしてだろう?」という疑問から始まり、
「もっと調べてみたい」
「こうしたらどうなるかな?」
「自分はこう思う」と考えていきます。

必要なことを調べ、実際につくったり試したりして、その結果を人に伝える。

思った通りにならなければ、
「なぜうまくいかなかったのだろう?」
「次はどうしたらいいだろう?」と振り返る。

こうした「考える→やってみる→振り返る」という経験を、さまざまなテーマを通して重ねていきます。

それは、非認知能力だけを取り出して育てるためではありません。
知識を得ることと、自分で考えること。
一人で考えることと、人と関わること。
うまくいくことと、うまくいかないこと。
その一つひとつを、学びの中でつなげていくためです。

これから先、子どもたちがどのような社会で暮らすことになるのかは、まだ分かりません。

だからこそ、今のうちから「正しい答え」をたくさん覚えるだけではなく、
「自分で考えてみる」
「やってみる」
「違う考えを聞いてみる」
「うまくいかなかったら、もう一度考えてみる」
そんな経験を大切にしていくことが、これからの学びにつながっていくのではないでしょうか。

みらいミッテは、「調べる・伝える・つくる・解決する」という学びを通して、子どもたちが自分で考えることのおもしろさに出会える場をつくっています。

小学生の今だからこそできる、「考えて、試して、学ぶ」時間を。

みらいミッテの教室で体験してみませんか。
詳しいカリキュラムはこちら

公式LINEより簡単にお問合せ可能です。

関連記事

TOP
LINEで質問・体験予約
LINEで質問・体験予約