
小学校への入学が近づくと、気になり始めるのが勉強の準備です。
「ひらがなは読めるようにしておいたほうがいい?」
「自分の名前を書けたほうがいい?」
「計算も少し先取りしておくべき?」
年長のお子さまがいるご家庭では、こうしたことを考える機会も増えるのではないでしょうか。
ひらがなを読んだり、数に親しんだりすることは、もちろん大切です。
ただ、小学校入学準備は、文字や計算の練習だけではありません。
小学校では、先生の話を聞き、自分で考え、分からないことを確かめたり、自分の考えを伝えたりしながら学んでいきます。そのときに支えとなるのが、毎日の生活や遊びの中で育まれる「学びの土台」です。
今回は、年長のうちに家庭で意識したい習慣を5つ紹介します。
小学校入学準備の勉強は、ひらがな・計算だけでいい?

小学校入学を前にすると、どうしても目に見える成果が気になります。ひらがなが読める。
自分の名前が書ける。
数字が分かる。
簡単な計算ができる。
こうした力は、文字や数を使った学習に親しむうえで大切なものです。
一方で、小学校での学びは、知識を覚えることだけで成り立っているわけではありません。
先生の話を聞いて何をすればよいか考える。友達の意見を聞く。分からないことを質問する。自分なりに工夫して、もう一度やってみる。
こうした経験も、学びを支える大切な要素です。
文部科学省も、幼児期の遊びを通して育まれた力を、小学校以降の生活や学習につなげていくことを重視しています。
参考:文部科学省「幼稚園教育パンフレット」
つまり、年長のうちに考えたい小学校準備は、勉強を先取りすることだけではありません。
自分で考えたり、人の話を聞いたり、興味を持ったことに取り組んだりする経験を、日々の生活の中で重ねていくことも大切なのです。
年長のうちに家庭で育てたい5つの習慣
1.自分のことを自分で確かめる

小学校に入ると、持ち物の準備や身の回りのことなど、自分で確認して行動する場面が増えていきます。
そこで、年長のうちから意識したいのが、身近なことを自分で確かめる習慣です。
例えば、お出かけ前に必要なものを確認する。脱いだ服を自分で片づける。遊び終わったら、使ったものを元の場所に戻す。
最初から一人で完璧にできる必要はありません。
大人がすべて先回りするのではなく、まずは一緒に確認し、少しずつ本人に任せる場面を増やしてみましょう。
忘れ物をしないことだけが目的ではありません。
「何が必要かな?」
「次は何をすればいいかな?」と、自分で考えて行動する経験につながります。
2.話を聞いて、自分の言葉で伝える

学校での学びでは、先生の話を聞くだけでなく、自分の考えを言葉にする機会もたくさんあります。
家庭でも、親子の会話を通して、聞くことと伝えることの両方を大切にしてみましょう。
例えば、園から帰ってきたお子さまに「今日は何をしたの?」と聞いてみる。
答えが「忘れた」「分からない」だけでも、無理に思い出させる必要はありません。
「何かおもしろいことはあった?」
「誰と遊んだの?」
「どんなところがおもしろかった?」と、答えやすい質問から始めてみましょう。
また、子どもが話しているときは、途中で結論を急がず、最後まで聞くことも大切です。
うまく説明できないときには、すぐに言い直させるのではなく、話を聞きながら気持ちや考えを整理するのを手伝ってあげましょう。
自分の話を聞いてもらう経験は、誰かに伝えることへの安心感にもつながります。
3.身近なことに「なんでだろう?」と興味を持つ

子どもは、日常のさまざまな場面で不思議を見つけます。
「どうして影はついてくるの?」
「雨はどこから来るの?」
「この道具は何に使うの?」
大人にとっては当たり前のことでも、子どもにとっては新しい発見のきっかけになります。
そんなとき、すぐに答えを教えるだけでなく、「どうしてだと思う?」と聞いてみるのも一つの方法です。
もちろん、いつも正しい答えにたどり着く必要はありません。
一緒に考えたり、実際に見て確かめたり、図鑑で調べたりするのもよいでしょう。
例えば、水に浮かぶものと沈むものを比べてみる。身近な道具をじっくり観察してみる。散歩中に見つけた植物の名前を調べてみる。
特別な教材を用意しなくても、日常の中には学びのきっかけがたくさんあります。
大切なのは、疑問を持ったときに「知りたい」「確かめてみたい」と思えること。
その気持ちを、急いで答えに結びつけず、大切にしてみましょう。
4.うまくいかないときに、もう一度考えてみる

遊びやものづくりをしていると、思いどおりにならないことがあります。
積み木が崩れる。
工作がうまく組み立てられない。
パズルのピースがはまらない。
そんなとき、大人がすぐに答えを教えたり、代わりに完成させたりすると、子どもが自分で考える機会は少なくなってしまいます。
少し困っている様子があれば、すぐに手を出さず、様子を見てみましょう。
そして、「どうしたらうまくいくかな?」「ほかのやり方はありそう?」と声をかけてみます。
一度でうまくいかなくても、やり方を変えてみる。違う方法を試してみる。誰かのアイデアを参考にしてみる。
こうした経験は、答えがすぐに分からないときにも、自分なりに考えながら取り組むことにつながります。
もちろん、難しいことにいつまでも取り組ませる必要はありません。困ったときには助けを求めてもよいのです。
「できたかどうか」だけでなく、「どう考えたか」「何を試したか」にも目を向けてみましょう。
5.生活の中で、文字や数に親しむ

小学校入学準備として、ひらがなや数の学習が気になる方も多いでしょう。
その準備は、机に向かうドリルだけで進める必要はありません。
例えば、買い物のときに品物の数を数える。時計を見ながら出発する時間を確認する。料理を手伝いながら、材料の数や量を比べる。絵本を読んだり、身近な看板の文字を見つけたりする。
日常の中にも、文字や数に触れる機会があります。
自分の名前を書いてみることや、興味を持った言葉を読んでみることも、よい経験です。
ただし、年長のうちにすべての文字を覚えたり、計算を先取りしたりすることだけを目標にしなくても大丈夫です。
お子さまの興味や習熟度に合わせながら、文字や数を使うことの楽しさや便利さを感じられる機会をつくってみましょう。
「勉強しなさい」と声をかけなくても、生活の中で自然に学びに触れられる場面はあります。
学びの土台を育てるために、保護者が意識したいこと

ここまで、年長のうちに家庭で意識したい5つの習慣を紹介しました。
どれも、特別な教材や長い学習時間がなければできないことではありません。一方で、日常に取り入れるときには、少し意識しておきたいことがあります。
すぐに答えを教えず、考える時間をつくる
子どもが困っていると、つい先回りして教えたくなるものです。
もちろん、必要なときに助けることは大切です。
ただ、すぐに正解を伝えるのではなく、少しだけ考える時間をつくることで、子ども自身の気づきや発想が出てくることもあります。
結果だけでなく、考えた過程にも目を向ける
できたことを喜ぶのは自然なことです。
それに加えて、「自分で気づいたんだね」「違う方法も試してみたね」「自分の考えを教えてくれてありがとう」と、取り組んだ過程にも目を向けてみましょう。
正解したときだけでなく、考えたり、工夫したり、人に伝えたりしたことも認めると、子どもが自分の取り組みを振り返るきっかけになります。
ほかの子と比べず、その子なりの変化を見る
同じ年長でも、文字を読むことが好きな子もいれば、ものを組み立てたり、体を動かしたりすることが好きな子もいます。
興味の対象も、得意なことも、一人ひとり違います。
周りの子と比べて、できることの数を増やそうとするよりも、以前より自分で考える場面が増えた、疑問を言葉にするようになったなど、その子自身の変化を見ていきましょう。
小学校入学までに、すべてを身につけておく必要はありません。日々の生活や遊びの中で、お子さまの興味や成長に合わせて経験を重ねていくことが大切です。
小学校入学準備は、入学前に勉強を先取りすることだけではない

小学校に入ると、子どもたちはさまざまなことを学び始めます。
そのときに支えとなるのは、覚えた知識や身につけた技能だけではありません。
話を聞くこと。
疑問を持つこと。
自分なりに考えること。
うまくいかないときに工夫すること。
自分の考えを誰かに伝えること。
こうした経験も、これからの学びを支えていきます。
年長の今、何をどこまで勉強させるべきか迷ったら、ドリルを増やす前に、家庭での過ごし方を少し振り返ってみてください。
子どもが自分でやってみる時間はあるでしょうか。
疑問に思ったことを話せるでしょうか。
うまくいかなかったときに、別の方法を考える機会はあるでしょうか。
毎日の何気ないやり取りや遊びの中にも、学びの土台につながる経験があります。
小学校入学に向けて大切にしたいのは、できることを増やすことだけではなく、子どもが自分から学びに向かうための経験を重ねることです。
入学後の習い事選びについて考えたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
小学1年生の習い事はどう選ぶ?入学前に考えたい5つのポイント
自分で考え、試し、伝える経験を
みらいミッテは、小学生を対象としたプロジェクト型の探究学習教室です。
「調べる・伝える・つくる・解決する」を通して、さまざまなテーマに取り組みます。

レッスンでは、身近なものを観察して疑問を見つけたり、自分なりに考えて試したり、仲間と意見を交わしたりしながら学びを深めていきます。
最初から一つの正解が用意されているとは限りません。
「どうしてだろう?」
「どうしたらうまくいくかな?」
「ほかにはどんな方法があるだろう?」
そんな問いをきっかけに、自分で考え、試し、分かったことを自分の言葉で伝える経験を重ねていきます。
小学校入学を前に、勉強の内容だけでなく、子どもがどのように考え、学んでいくのかにも目を向けてみませんか。
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